「入れ歯を失くしたのですぐに作り直してほしい」
そんなご依頼をいただくことがよくあります。ですが、義歯を作るには実はとても時間がかかるのです。
今回は、義歯がどのようにして作られるかのお話です。
入れ歯(義歯)作成の工程には、
1、精密な型取り
2、噛み合わせ(高さ)を決める
3、歯を並べる
4、試適(顔貌や口唇、見た目のチェック)
5、作成
があります。
例えば銀歯を入れる場合でしたら、型取りをして次回に完成することもありますが、
義歯の場合、最低4回の通院、最短でも約1ヶ月はかかるとお考えいただきたいのです。
と言いましても、すべての義歯が4回の通院で完成するわけではありません。
まず義歯には、部分義歯と総義歯があります。
製作工程自体はどちらも変わりはありませんが、1〜2本の少数の義歯と、本数の多い複数歯や総義歯では、各工程に差があります。
例えば1〜2本義歯の人でしたら、型取り、試適、作成、と通常3回の通院で完成となります。
なぜなら、部分義歯の人は、ほとんどの歯が残っているため、噛み合わせが安定しているからです。
その噛み合わせを基準にして義歯を作成していくことができるため、比較的早く完成することが可能なのです。
ですので、複数歯の人でも噛み合わせが安定していれば、3回の通院で完成することもあるでしょう。
噛み合わせが安定していないと、難易度がグッと上がるわけです。
つまり本数だけでなく噛み合わせも、完成までにかかる時間を左右する要因なのです。
噛み合わせが安定していないと、なぜ難易度が上がるのか。
通常、人はひとりひとり基準になる噛み合わせが決まっています。
ですが歯のない人は顎が自由自在に動いていくため、基準になる噛み合わせがありません。
そこで、その人にとっての噛み合わせの基準を作ることから始めなければならないのです。
「噛み合わせって上下で噛める位置でしょ?」と思われるかもしれませんが、それは歯がある人の感覚なのです。
歯がある人は、いつも同じ位置で噛めるのが当然のことなのですが、歯のない人は、どこで噛んだらいいのかもわからないのです。
バランスのとれた位置を探すこと、それが噛み合わせの目的なのです。
そしてそれが、なかなか難しいところなのです。
そういうわけで、噛み合わせの位置を探すには、その時の正解を決めることでもあります。
つまり、10人歯科医師がいれば、10通りの義歯ができるということです。
そして、同じ義歯は二度と作れません。
義歯は貴重品だということですね。
完成してからもこまめに調整は必要ですし、大切に扱っていただきたいのです。
また、作り直しにも時間がかかりますので、できればスペア義歯を作成していただくことをお勧めしています。
義歯が合わなかったり、思うように噛めないなど、義歯でお悩みの方は大勢いらっしゃいます。
そんな方々のお役に立てるよう、わたしもまだまだ勉強を重ねていく所存です。
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柳原歯科医院
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